3DSレビュー・評価:ポポロクロイス牧場物語

ジャンル
RPG
対応機種
3DS
メーカー
マーベラス
公式サイト
ポポロクロイス牧場物語公式サイト
発売日
2015年6月18日
おすすめ度
★★★★☆

前作『ポポロクロイス月の掟の冒険』から早や十数年。
ポポロクロイスが人気シリーズ『牧場物語』とのコラボで奇跡の復活を遂げました。

主人公は再びピエトロ王子に。
懐かしい仲間たちも登場し、新たな冒険が繰り広げられます。

【評価できるポイント】

  • 絵本のように温かみのある物語と世界観。
  • あいかわらず魅力的な仲間たち。新キャラも好印象。
  • ゆったりできる牧場運営。
  • クエスト、合成、モンスター図鑑などコンプ要素多数。
  • ポポロといえばお土産。

【評価できないポイント】

  • 単調なバトル。
  • 似たような展開の繰り返し。

ポポロクロイスシリーズは全作プレイ済み。
牧場物語は『キミと育つ島』以来のプレイになります。

以下、詳しく評価していきます。

ストーリー

平和な国・ポポロクロイスー。

最近ではどこからともなく現れた黒獣という謎の魔物によって大地が汚される被害が報告され、人々は大きな不安を抱えていました。

そんな折、ポポロクロイスの王子であるピエトロが13歳の誕生日を迎え、お城では盛大なパーティーが催されることに。
パーティーには外国からの来賓も駆け付けました。
マルメラという女性もその一人。
彼女はポポロクロイスから遠く離れた「ガラリランド」という国の外交官で、黒獣への対応策を知っているといいます。

マルメラから対応策を学びに「ガラリランド」へ向かうことを勧められたピエトロ王子は、ポポロクロイスを救うため旅立ちを決意します。

しかし、それはポポロクロイスを狙う闇のグリフォトの手先であるマルメラが邪魔者であるピエトロ王子を排除するために画策したことだったのです。

ポポロクロイスの世界観を受け継いだ新作

■忠実に再現されたポポロクロイスの世界

ポポロクロイス城と城下町はほぼ当時のまま、非常によく再現されています。
街の人々も懐かしい顔ぶれがいっぱい。
モノマネ少年一家に猫屋敷のお婆さん、灯を見守るお婆さん、武勇伝自慢のおじいさんやいつも井戸端会議しているおばさんたちなど。

音楽ももちろん当時と同じ。
街の中を歩き回っていると、ポポロをプレイしているなと実感できます。

イベントも所々で過去作を彷彿とさせる展開が散りばめられています。
シリーズファンならニヤリとすること請け合い。

残念だったのは、一部キャラの名前や町がなくなっていたこと。
せっかくの牧場物語とのコラボにタキネン村がないのはとてもショックでした。

■破綻なし!魅力的なキャラクター

ナルシア・白騎士・ガミガミ魔王といったお馴染みの仲間たちが登場。
空白の期間が長かった作品にありがちな「コレじゃない感」はありません。

新キャラのニノとルーも良い子たちで好感が持てます。
妖精のコニーもいい味出してますよ。

■物語の舞台は異世界「ガラリランド」

四季に基づく4つの大地で構成された「ガラリランド」が今作の舞台。
グリフォトによって不毛の大地に変えられてしまったこの世界を救うためピエトロたちは奔走します。

物語は相変わらず温かい優しさに満ちています。
舞台は変われどポポロらしさは健在です。
新キャラ2人の兄弟の絆には思わず目頭が熱くなりました。

ただし、一つ気になる点も。
それは各地にある光の牧場を解放する際、同じような展開が繰り返されること。
ともしびを手に入れる→ともしびを明るくするため複数の畑ダンジョン攻略→光の牧場解放、といつもこの流れ。
さすがに「またか」と思ってしまいます。

最大の難点はバトル

■戦闘はタクティカルコンバット式

キャラごとに表示されるマス目の範囲を移動し、攻撃や特技といったコマンドで戦います。
SRPGの戦闘に近い感じで、基本は過去作と同じ。
違いはフィールドでそのまま戦闘ではなく、バトルフィールドに移行する点。

特技は何度も戦闘を繰り返すことでレベルアップし、効果範囲が広がったり威力が高まったりします。
その分、消費MPも増えます。

また、対象指定が範囲の場合のみ移動して使用が可能。
Yボタンを押しながら方向キーで向きを維持したまま移動できるなど、微調整もしやすいです。

単体や全体魔法はその場で発動するしかないのは相変わらず。
これはいい加減改善してほしいですね。
HPの低いナルシアやルーを下がらせてから魔法、とかできる方がいい。

協力技はパーティー内に二人が揃っていれば発動可能。
PSP版のように立ち位置などの条件はありません。
消費MPが高く、圧倒的に威力があるわけでもないのであまり出番はないかも。

■戦略性が低い単調な戦闘

序盤はやたら離れた初期位置や設置された障害物で無駄にターンがかかります。
仲間を避けて移動できないのはなぜなのでしょうか。
進路が塞がれ、さらに無駄にターンがかかる悪循環。

終盤の雑魚はナルシアのホーリーアークという聖属性の魔法で片付きます。
ボス戦は攻撃力アップの補助技を使って通常攻撃でOK。
難易度「ふつう」では大半が回復魔法すら必要ありません。

自分でパーティー編成ができるようになるのも第6章からとかなり遅め。
しかも、ピエトロとナルシアは固定で、残りの二人を[白騎士とガミガミ魔王]か[ニノとルー]のどちらかで選ぶ自由度の低さ。

■エンカウント率や難易度の調整で快適なプレイ

エンカウント率はデフォルトではやや高め。
アップデートでエンカウント率を調整することができるように。

難易度も選べます。
デフォルトでは「やさしい」「ふつう」の2種類。
アップデートで「むずかしい」が追加されました。

他にもオートバトル完備やレベルアップでHPMP全快など。
痒い所に手が届く親切設計で、快適にプレイが可能です。

ゆったり楽しめる牧場生活

■主役は冒険!牧場要素はおまけ?

冒険の拠点となる牧場では作物を育てたり、動物を世話したりといった牧場ライフが楽しめます。
本家のようにめまぐるしく過ぎていく時間に追われることなく、自分のペースでできるのは◎。
ストーリー進行にはあまり必要ないので、興味がなければ放置することも可能。

操作は本家とほぼ同じ。
LRボタンで道具を切り替えて、Aボタンで使用。
初めは1マスずつですが、高性能な道具を手に入れることで一気に4マス、8マスと作業効率アップが図れるのも同様です。
ジョウロの水汲みが不要だったり、動物の世話がエサやりのみだったりと全体的に簡略化されている印象。

作物が実ったり、動物から副産物がとれるようになるとお知らせログで教えてくれます。
ダンジョン攻略中で戻ることが出来なくても大丈夫。
しばらく放置しても枯れませんので、じっくり冒険に勤しめます。

■拠点+季節の異なる4つの牧場

初めは畑2面の小さな牧場からスタート。
ストーリー進行によって徐々に新しい要素が解禁していきます。

最終的には計5カ所の牧場が使えるように。
それぞれに季節が設定された牧場では育てられる作物も違います。
3章から使えるようになる妖精の粉(一度行ったことのある町にワープできる)で各牧場間の移動も楽々。

収穫した作物は出荷箱を使って換金することも。
ただし、金策にはモンスターを狩った方が効率的です。

■各地で出会う女の子と仲良くなれる要素も

ポポロファンとしてはちょっと複雑な気持ちになるこのシステム。
ナルシアを尻目に他の女の子と仲良くするピエトロには違和感ありますね。

対象となる女の子は全部で5人。
話しかけたり、プレゼントを渡すことで好感度が上昇。
プレゼントは定期的に贈るといいです。
一度渡すと、しばらく受け取ってくれないので。

名前の横の花びらが1枚色づくたびにイベントが起こります。
満開になると「○○(女の子の名前)の気持ち」を入手。
冒険を有利にする様々な恩恵が受けられます。
エミリア・アイリスは仲良くしておくとコンプに役立つのでおすすめ。

好感度が最大になった女の子は牧場に呼ぶこともできます。
呼べるのは1人だけで、他の子を呼ぶと入れ替えに。
それぞれ(1人を除く)が牧場にいる時だけ受けられるクエストの際、入れ替えなければならないのでちょっと面倒。

豊富なやり込み要素でクリア後も楽しめる

■みんなの願いを叶えるクエスト

アイテム調達やモンスター退治などを達成すると、お礼にアイテムがもらえます。
クリア後はポポロクロイスの人たちからもクエストが発生。

頭上に表示される緑のアイコンがクエスト発生の目印。
受領後はアイコンが消えてしまうので、報告時は不便ですね。
誰から頼まれたのか、きちんと覚えておかないと。

■アイテム合成レシピは200種類以上。

作成できるのは装備と料理。

基本は2種のアイテムを組み合わせて作ります。
条件を満たすと3種のアイテムを組み合わせることも。
2種のレシピは総当たりで探せますが、3種は自力では不可能ですね。

■フィールドで「採掘」、「採集」

フィールドに配置された光るポイントを調べると、鉱石や虫を入手できます。
それぞれに対応する道具が必要(採掘はハンマー、採集は網)です。
一度採ると、光るポイントの復活にはやや時間がかかるので注意。

採掘で入手できる鉱石は合成の装備作りに不可欠。
レアな鉱石は高性能なハンマーで入手しやすくなります。

採集で手に入れた虫は虫好きおじさんに譲るしか使い道がありません(一部クエストにも必要)。
虫を譲るとスタンプカードにスタンプが溜まっていき、一定数溜まるとアイテムがもらえます。
虫は一匹ずつしか渡せず、非常に面倒。
もらえるアイテムも大したことないので最終的には放置しがちに。

■ポポロといえば、お土産!

入手したお土産は3章に登場する合成小屋の奥にある部屋に飾られます。

が、この部屋のカメラワークが最悪。
中に入るとズームしてしまうため、全体が見えません。
過去作のようにお土産で部屋が埋まっていく楽しみは薄いですね。
お土産1つ1つを鑑賞するには適しているかも。

■モンスター図鑑

モンスター図鑑は『ポポロクロイス物語』仕様。
アイテムの項目は敵からドロップすると埋まっていきます。

牧場の家の本棚にあるので、コンプを目指すにはいちいち確認に戻らなければならず面倒。
クエストなどが記載された手帳のようにメニュー画面から閲覧できるといいのに。

■全5エリア、1エリア10階層からなる畑ダンジョン

こちらも3章以降利用できるように。
前階層クリアとストーリー進行で段階的に解放されます。

最後のエリアにはラスダンよりも強い敵が出現。
難易度を上げれば、レベル上げもサクサク進みます。

ポポロファンにおすすめ!

ポポロクロイス物語と牧場物語のコラボと謳われた今作。

実質はかなりポポロクロイス寄りの作品です。
メインは冒険、牧場要素は合間の息抜き程度といったところ。
牧場物語の新作を期待した方はがっかりするかも。

ポポロクロイスの新作を待ちわびた方には満足できる出来だと思います。
作品全体に流れる空気感までしっかりポポロクロイスですから。

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